知って楽しい初心者向けゴルフルール10ヶ条

ゴルフは近年様変わりしました。一番の変わったのは、ゴルフが大衆化したことでしょうか。かつてはお金持ちのスポーツという考えが定着し、実際にその通りだったのです。お金持ちが夢中になるほど面白いスポーツが、社会の発展とともに裾野を広げたのはある意味自然の成り行きでした。
ゴルフは他のスポーツにはない特徴があります。ほとんどのスポーツは強靭な鍛え上げた肉体や、そもそもの運動神経にレベルの要素が偏っています。しかし、ゴルフは【知識】こそ上達のポイントであり、頭脳ゲームという側面が非常に強いゲームです。そのため、多くのファンの間では「ゴルフに詳しくなれば、ゴルフはもっと上手くなる」が常識として定着しているといえます。
だからこそ、初心者のうちから「ゴルフルール」をしっかり学んでおきましょう。
コンテンツ
初心者がゴルフルールを”楽しく”学べるように…
今回は「初心者のゴルフルール解説」です。ゴルフの大原則を覚えてください。それは『あるがままに打つ』です。これだけでゴルフはプレーできますが、実際はケースバイケースの対応をしないと競技続行はできません。ゴルフにはややこしいゴルフ用語がありますが、講座の進め方も用語の解説もわかりやすく、ビギナーの方も一歩一歩前進できますので焦る必要はありません。
単純に(堅苦しい)ルールの条文だけ並べる講座では、ゴルフの好奇心も湧かず深みは伝わりません。通常の規則書ではなく読み物としても楽しめるような構成にしました。ゴルフへの憧憬を深めることは大事なことです。
- ゴルフとルールの歴史は?
- マナーとルールは繋がっているのかな?
- ルールを知れば上達する?
- ルールを知らないと損するってどんな意味??
- 最初に学ぶべき基本の基本ルールとは?
…などなど、とても楽しく読めるようになっています。
第1節 ゴルフとルールの歴史
数百年、いやいや千年以上昔に起源があるといわれるゴルフ。その起源説には各国に多数の説があります。
最近有力になってきたのはオランダ発祥説です。14世紀ころのオランダには「ヘッド・コルベン=Head Kolven」というゲームがあり、真鍮の棒でクリケット大のボールを打って柱に当てるというものでした。 この打棒がオランダ語の「Kolf」で、やがてKがGに変わったというものです。
その後の歴史を見ると、彼らが後世のスコットランドまでの流れを持ち、今のゴルフの基礎を作ったことは間違いなさそうです。
「ゴルフの起源」は「ゴルフの定義」次第で見方が変わります
近代ゴルフは『ゴルフのルールが最初にできた時』とするならば明確な記録があります。それはいつかというと、それは1744年のエディンバラ市(スコットランドの首都)がアマチュアのゴルフ大会を企画した時でした。賞品には銀製のカップが用意され「13か条のルール」は当時最高の格式を持っていた「ザ・オナラブル・カンパニー・オブ・エディンバラ・ゴルファーズ」が記録に残る最古の成文化を果たしました。
それまでのゴルフといえばほぼマッチプレーだけだったため、当事者同士でルールを決めればよかったのです。それに競技会そのものはありませんでした。 大会開催の都合上、共通する最低のルールがないと困る、それから「ゴルフルール」が歩き出したのです。
ザ・オナラブル・カンパニー・オブ・エディンバラ・ゴルファーズ
現在のミュア・フィールド・ゴルフクラブ。クラブ組織としてはここが世界最古。
マッチプレー
ひとホールごとの勝敗で勝負を決める競技方法。通常はその勝ち負けを18ホールで行い、勝利ホールが多いほうを勝者とする。
第2節 マナーとルールはワンセット
世界各国で発行され使用されているゴルフ・ルールブック、そのルール以前のページに書かれているのが「エチケット=マナー」です。 ゴルフではルールを守るということは、イコール品格の高いマナーを持たなければ守れないものと同義です。
まぁいってみれば当たり前なのですが、「スコアなどでウソをつかない真正直な人物」でないとルールそのものの存在価値がないということになります。ごまかす気になればいくらでもごまかせるのがゴルフ、それではルールの立場がありませんからね。
最近特に注目されているのが「スロープレー」
スロープレーは、ゴルフのイロハのマナー最前線に位置している言葉でもあります。 ところがこのスロープレーはとことん嫌われているため、近年はルールにも出てきました。一定の時間以上無為に費やすゴルファーにはペナルティを科すという考え方です。
もちろん一般の方にではなくプロのトーナメントに対してのみですが、一般の方にも参考にしてもらおうという啓蒙の精神が垣間見られます。
ペナルティ
2打以下の罰打が加算されるルール。ゴルフには一度に3打以上のペナルティはありません。ただし、ミスの内容によっては「失格」という重いペナルティもある。
第3節 うまくなるために必要なルールの知識
初心者の皆さん、ルールは(前述のように)ペナルティを科すためだけのもの…、というイメージを持っていませんか? 実は中級以上の方でもそういう誤解をしている方はたくさんいます。
ゴルフのルールはペナルティだけのためにあるのではありません。実はプレーヤーの救済のための条項が多いのです。 極端な話、ゴルフは『あるがままに打つ』が大原則だからといって池に落ちたボールは容易に打てません。しかしペナルティを払えば継続できます。 野生動物の掘った穴に入ってしまって打つことができない…といった場合も、きちんとした救済ルールもあります。
アンプレアブルなどを例にとると、知らないと損をする、つまりスコアにそのまま反映されるということがあります。ティーグラウンドで打とうと構えたらボールがティからポロッと落ちたので、仕方なく1打加えてしまった…といったケースは、知らなかったためにもったいないことをした例です。(この場合はペナルティはありません。)
「知らない」ことは、ゴルフでは直接スコアに反映されてしまいます。
冒頭にも、ルールを学ぶことは上達に関係していると書きましたが、少しづつご理解いただけてきたでしょうか。
アンプレアブル
文字通り、打って飛んだ先のボールが障害物などで物理的、技術的に打つこと不能な場合です。1打のペナルティを払いはっきり「アンプレアブル(この状況ではプレー続行できません。1打の罰を払います。)」を宣言することで、後述する3つの対応(救済)が許されるルールです。 まさに、このケースこの場合、どれが自分にとって一番有利なのか、それこそ知らないと損する典型です。
第4節 初心者が知っておくべきルールの基礎10ヶ条
初心者がコースに出て遭遇する確率の高い10ヶ条のルールを列挙しました。もちろんこれだけで十分とは言いませんが、初歩の段階でこれだけは自分のものとしたいルールを集めました。
ゴルフのルールは、 意外なことに何年か経験している方でも勘違いしていることがあります。ルールの基礎となるものばかりですが、ここはしっかり抑えておきましょう。
第1条:スイングの定義
ゴルフの「スイング」とはどう意味かから説明しましょう。
普通はクラブを振ること全般で良いのですが、ルール上はボールを打つ意思をもって振った場合に限定されています。したがって、素振り(0打)とスイング(1打)は異なりますが、その差はご本人しかわからない…これが現実です。当てる意思があってスイングしたのに実際は当たらなかったという場合、これを周囲の同伴者に「素振りだ」と申告することは可能ですし、周囲は申告内容を認めざるを得ません。
ところが、この所作、周囲の人たちも意外と本当のことに気づくものです。空気というか、真剣さから伝わるものがありますから、普通に歴然としています。 それに、大体空振りすると声を出したり、周囲の人をチラ見したりすることがよくあります。素振りといわれればその場は通用しますが、長い目でみた時に、人格的な評価を下げ、やがて友達も少なくなるという代償が付随します。
(決して大袈裟に言っているわけではありません。)
ゴルフの原点は<Honesty=真実、正直>です。考えてみれば一般社会の原点も、お互い同士の信頼で成立しているわけですから、安易なごまかしは最終的に人生においても大きな損をするということを知っておきましょう。
素振り
素振りは何回以内という規則はありません。でもあまり回数が多いのは遅延行為としてマナー違反になります。また、ボールのあまり近くで振るのはやめましょう。少し離れないとそもそも誤解を受けます。それにボールが動く可能性もあります。
第2条:ボールに触れてしまったケース
ティーグラウンドで、ティーアップ(ボールをティーに乗せること)していたボールが素振りの時の風圧、または他の理由でポロリと落ちた場合、または構えただけでクラブに接触して落ちた場合ですが、この場合は ペナルティはありません。元の状態に戻して無罰でやり直しすることができます。
インプレーに入ったボールを素振りでクラブに触れて動かしてしまった場合は、1打プラスしてボールをできるだけ元の位置・状態に復元(この行為をリプレースといいます)します。 もし、元の状態に戻さずにプレーを続けると2打罰になります。
インプレー
第一打からホールアウト(カップに入れる)までの途中経過状況にあるボール。OB杭の外にあるボールはインプレーではない。
OB(Out-of-Bounds)
コース外でプレー不可能な区域のこと。通常は白い杭(または白線)で示される。 OBは打った1打にペナルティ1打を加え打ち直しとなる。2ペナルティという考えは間違いです。 つまりもし1打目がOBなら次は3打目、4打目がOBなら次は6打目となる。打ち直しは打った先の位置からではなく、必ず戻って元の場所からとなる。
第3条:打順
初めてのコースデビュー、緊張しますね。「さぁ、スタートしましょう!」と言われても誰から打てばいいのか戸惑ってしまいます。やはり初心者は遠慮して年配の方とかハンデの少ない上手な人からと考えてしまうと思いますが、あらかじめ知識を持ち、安心してプレーしましょう。
実はルールに打順の規定はありません。朝一番のスタートはティーグラウンドの脇に置かれた細いスティックを使って決めます。くじ引きのように、です。 2番目以降の打順は前ホールで成績が良かった人が先になり、同じ場合はもっとその前のホール、さらに同じならその前と次々に逆流して決めます。 ホールごとに最初にティーアップする人をオナーと呼びます。
気心の知れた仲間内の順番決めに、1本のティーを使う方法もあります。4人なり3人なり、メンバー同士が輪になって立ち、その中央に誰か一人がティーを放ります。そのティの先端が向けられた人から時計回りに打つというオシャレな方法やジャンケンするのもいいでしょう。エンジョイゴルフのはじまりで、緊張と期待が体中に充満する瞬間です。
ちなみに、打順の間違いは無罰です。でもマナー違反になるので、打順を間違ってショットしてしまったら周りに謝るようにしましょう。
オナー
オナーは英語でHonor、つまり名誉ある人の意味。よく勘違いするのは「オーナー」です。こちらは「Owner=所有者」となりゴルフとは関係ない用語になります。
第4条:ボールが動いてしまった!
初心者にはよくあることですが、処置を知らないと慌てしまいます。落ち着いてしっかり対処しましょう。
第2打以降で、アドレスの時に動いたボールの対処ですが、クラブが軽く触れてもボールが動かなければ無罰で問題ありません。ボールが微動しただけでボールの向きも接地した部分も変化がなければ無罰です。数ミリであっても回転や移動がハッキリ確認されたら1打罰がつきます。
よくあるケースで「誰も見ていないからいいんじゃないかな?」と思ってペナルティを無かったことにすること…。これはゴルファーとして絶対に避けなければいけないことです。スコアのごまかしはその場で取り繕うことはできても、自分の趣味に汚点を残した記憶が、ずっと心の中のキズになって残る結果になりますので決しておすすめできません。
アドレス
打とうとして足の位置を決めたり身構えを作る行為。ルール的な言葉では「ボールの直前または直後の地面にクラブを置けばアドレスに入ったとみなされる」とあります。
第5条:ライの改善
ゴルフルール13条の規定は「球はあるがままの状態でプレーしなければならない」とあります。これはゴルフの最大の原則です。ライの改善は、初心者がついやってしまう、またやりたくなる違反行為です。
ボールが深いラフ(草丈が長く刈り込んでいない場所)に落ちた時、打ちにくいからといってボールを浮かせた状態に動かしてはいけません。 また、少しでも打ちやすくなるようにと、クラブやシューズで芝を地面に押し付けたりしてもいけません。
かつて、日本の超一流の選手が豪州の雄、グレッグ・ノーマンにそのことを指摘された話は有名です。彼は記者会見で「彼はクラブでボールの後方の芝生をシューズで踏んでいた。根本的な違反だ」と。もちろん大きな問題になりました。初心者はこんなことを習慣にしてはいけません。
ライ
ボールが置かれた環境や状態を説明する言葉。 芝が短く刈り込んで平らに近い場所ならライが良い、草深い中だったり、ぬかるんだり足場の悪い傾斜地にあればライの条件が悪いという言い方を用いる。
第6条:動かせる障害物と動かせない障害物
ゴルフコースにはゲームをスムーズに進行させるため、最小限度の人工物を意図的に配しています。それらを障害物と称し、プレーに影響する場合のみルールの適用があります。 ただし、プレーに影響を及ぼすとしても、すべてが救済の対象にはなりません。ルール上の救済は状況判断と、救済の種類の選択など学ぶことが必要です。
それらは大別してふたつ、
- 動かせる障害物
- 動かせない障害物
に分けられます。
ここは初心者からベテランまで、頻繁に登場する大事なケースです。
1.動かせる障害物の定義
特別な労力を必要としない、意味もなくプレーを遅らせない、そしてそのものを壊すこともしないで移動可能な「物」です。スタンスやスイングを妨害するとき、またはプレー方向の線上にあるときに限り無罰で移動できます。
一例ですが、
- ハザードの境界を示す(赤や黄色や緑などの)杭
- 地面に刺した案内ボード
- 距離を示す杭やマーカー
- バンカーレーキ
などの人工物が該当します。
2.動かせない障害物の定義
- カートパス(道路)
- コースに設置された機械類
- 排水用のパイプや金属製のふた
- スピリンクラー・ヘッド
などが該当します。 スタンスやスイングの妨害になるとき、多くのケースでは無罰で1クラブレングス内でホールに近づかない場所にドロップ可能です。
気づきにくいものの代表は、OB杭とその外にある障害物(フェンス・ネット・堀・排水溝、石や伐採した樹木など動かせるものでも)はすべて、スイングの邪魔になってもボールの移動は一切不可と覚えてください。(アンプレアブルになります)
プレーの線上にある動かせない障害物、例えば
- 照明塔
- 大きな広告看板
- 安全のために張ったネット
- フェンス
- コース整備の機材などの人工物
は「スイングやスタンスを物理的に妨げない限り」救済は受けられないのがゼネラルルール。ただし、そのゴルフコースごとに決めたルール(ローカルルール)でほとんどは救済されますが、そこはスタートする前にしっかりと確認しておきましょう。
(ローカルルールはスコアカードの裏面などに書かれています。)
一方、「ルース・インペディメント」という言葉がしばしば出てきますが、動かせる障害物とは別に、ルール上取り除けるものだと記憶しましょう。
ルース・インペディメント
コース内の地面に埋まっていない小枝、小石、グローブやティなどの落とし物、落ち葉、虫や動物のフンなどのことです。 生きた立ち木がジャマだといって枝など折ると前述の「ライの改善」でペナルティがつきます。枝の先の葉でも同じで、成長しているものは取り去ることはできません。素振りで葉っぱ一枚でも落とすとペナルティがつきます。
ハザード
コース内にあるバンカーや池やクリーク(小川)などのことです。 ティインググラウンドやグリーン、それに修理地(アンダーリペア)はハザードとはいいません。
第7条:池に入ってしまったボール
通常のゴルフコースには池が配されています。見た目は美しく、コースの景観をグッと高める池もプレーヤーにとっては大きなハザードです。 池と書きましたが、稀に水のないところでもハザードを示す黄色や赤の杭で示されていますから、広い意味で池と書きました。
では、その池にボールが飛び込んだ場合のルールを解説しましょう。すべてを書くと膨大なスペースになりますから簡易的な説明と考えてください。
池にはラテラル・ウオーターハザード(通常は繋がった赤杭を結んだ線で境界を示す)と、ウオーターハザード(通常は同様に黄色の杭)があります。
ラテラル・ウオーターハザード
ボールが赤杭同士を結んだの境界線を横切ったポイント(これを知らない方は多い)から、ホールに近づかないで2クラブレングス以内にドロップし、1打の罰でプレーを続けることができます。
ウオーターハザード
ボールが黄色杭の境界線を横切ったポイントとピン(ホール)を結んだ後方線上(線上ならどこまで下がってもOK)にドロップする。やはり1打の罰がつきます。
池に入れない場合の処置を書きましたが、水が干上がっていた場合はもちろん、「あるがままに打つ」原則に従ってジャブジャブと中まで入って行って打つこともできます。(この時のペナルティはありません。 )
注意する点は、囲まれた赤や黄色の杭の中(ハザード)では、水面やそこにある草などにソールすることはできません。また素振りで周囲の土や小石や草などの類とクラブの接触も禁止ですし取り除くことも禁止です。足場を固めようとシューズなどで穴を掘ることもできません。
ソール
ソールとはクラブの底の部分を意味します。そこから転じてクラブを構え、底の部分が地面に接地する行為を「ソール」と総称しています。
第8条:バンカーに入った時
バンカーとは、コース内で深く穴を掘って砂を入れた場所をいいます。ゴルフを難しくさせることに一役かっているわけから「サンドトラップ(砂の罠)」と呼ぶこともあります。 バンカーはグリーン周りのガードバンカー、グリーンからずっと離れた場所に設けられたフェアウエイ・バンカー(クロス・バンカー)と2種類あります。
バンカーはハザードですから、前述の水のない池とルールは似ています。罰を払わずにそのままの状態からショットすることができます。ソールできないことは全く一緒、バンカー内にいる時にクラブが砂に触ると1打罰がつきます。 同時に足場を作るために必要以上に砂を掘り起こすとペナルティの対象となります。
いくつかのケースを解説します。
ケース1
ボールが砂に潜っていたとき。ほとんど埋まって見えない時は、通常は触れられない砂をそっと指などで払いのけ自分のボールかどうか確認できます。必ず可能な限り元の状態に戻すことが決まりです。深く埋まっても(目玉)でボールの表面が見えていれば一切砂に触れてはいけません。
ケース2
バンカーの淵にめり込んでいたりして、とても打てないと判断したらバンカー内でも「バンカー内のアンプレアブル宣言」ができます。1打罰でホールに近づかない方向へ2クラブレングス以内(必ずバンカー内が条件)にドロップできます。
ケース3
台風の後など、バンカーの砂が流れてバックリと激しい段差(通常ではありえない)ができているとき。「コース内の異常な状態」という規定が適用されます。一応、ローカルルールも確認しましょう。
ケース4
ボールの後ろに小石などがあった場合、バンカーはハザード内のため動かせないのがルールです。拾い上げたら2打の罰になります。それはゼネラル・ルール(基本ルール)。 ただし「バンカー内の小石は危険なので動かせる障害物とする」とローカルルールを持っているゴルフコースは相当数あります。コースごとに違うのでよく確認したほうが良いでしょう。
バンカーのマナーについて
良識あるゴルファーが、コースに出て最も落胆することのひとつに、バンカー・マナーの悪い人が多いということがあります。この類の人はマナーがもともと悪い人、誰も教えてくれなかった人という要因がほとんどです。初心者のうちに習慣づけるとあとあと余計な神経を使わないのでとても楽です。
ゴルフは最初が肝心、十分以下のことを注意してください。
- 自分が荒らしてしまった砂は、可能な限り平坦にならしてから外に出ること。他人の不道徳も自分で直す気持ちを持ちましょう。
- レーキ(均す道具)の使い方は、砂を引き寄せるだけではなく押すこともアリです。
- 使ったレーキはバンカーの中などに放置せず、外か半分だけ入れる形が望ましい。
- ほかの人がグリーン上で待っていても焦ることはありません。やるべきことをキッチリ済ませるほうが他の方も気分良いはずです。
第9条:グリーン上のルール
グリーンはゴルフコース内で最も特別な場所、もっともデリケートな表面という意味あいがあります。 各ホールごとの最終段階ですからルールも細かく作られています。詳細をすべて書けないので、初心者が知っていなければならないことだけ抜粋します。
ボールにマーカー(コインやコースに備え付けのものなど)でマークして拾い上げる行為(さらに拭いてもよい)が許されています。グリーン以外は(救済のない)ピックアップはできません。 マーカーそのものの規定はなく、ティーペグやほかの人の邪魔にならないものや風に飛ばされないもの小物ならOKです。マークする位置の規定も同様ですが、ボールの真後ろでボールから3cm以内が常識的です。
他の方のボールが動いている間にパッティングすることは禁止です。 ゴルフは「遠球先打」が大前提です。同時に二人が打った場合、順番を守った人はOKで間違えた人は2打罰となります。
(例外的にピンに限りなく接近したボールは、時間短縮のために「お先に」と許可を得て打つことは許されます。)
自分のパッティングラインを跨いで打つことも禁止です。また、打つ前にボールを転がしたり、芝生の表面に手で触れたりしてはいけません。ボールを擦るように芝生に触れさせても罰打があります。すべてグリーン面のテストとされてしまいますので注意しましょう。
砂を手で払うこと(芝を傷つけないで砂粒をつまみ上げること)は問題ありません。逆にタオルなどを使うと2打罰があります。
また、2016年のルール改正で、アンカリングが禁止されました。
アンカリング
比較的シャフトの長いパター(パット、またはパッティングをするための道具)を使うとき、クラブの一部が体のどこかに固定されること。
第10条:知らないとやってしまうグリーン上のマナー
最後に、「ルール」ではなく、意外と大事なグリーン上のマナーをいくつかご紹介しましょう。とても大事なことで、同伴競技者が口にしなくても不快に思われることだけはさけたいですよね。知らないとやってしまう、グリーン上のチェックポイントです。
イロハのイは、
- グリーン上で走らない
- ハシャで飛び跳ねない
- 寝転がらない
- 芝生を傷つけない
です。グリーンは全員で共有する高級絨毯と意識しましょう。
ボールマーク(落下痕)は必ず正しく直しましょう。他人のものでも直してOKです。ただし、スパイクのキズは修正不可です。 常にフォーク(傷の修理道具のこと。コースには無料設置してある。)を持ち歩くのがゴルファーの常識です。
全員がオン(グリーン上にボールがある)した時、ボールが一番ホール(ピン)に近い人がサッと自分のボールをマークして、そのままピンを抜き、一番遠い人に「ピンを持ちましょうか?」などと声掛けしましょう。なお、ピンを置くときはグリーンの外にそっと倒します。
一番最初にホールアウトした人は、迷わずピンフラッグ(旗竿)を持ってグリーン外で待機します。誰かがアドレスに入った時は(すべてのショットも同様ですが)「動く」「声を出す」「音を出す」はNG行為となります。
また、パッティングする人の気になる位置で視界に入ることは厳に注意しましょう。特にNGなのは、パッティングライン(ボールとピンを結んだ線)の延長線上に立つことです。理想的には打つ人の後方がよく、横であっても相当な距離を取るべきです。テレビのゴルフ・バラエティ番組はいいのですが、このラインの前後で堂々と仲間が見るシーンは、多くのゴルファーに悪癖を植え付けています。逆に、プロのトーナメントを見れば選手やキャディがどう立ち位置を取るかのマナーが学べます。
同伴競技者のパッティングライン(ボールがカップに入るまでの移動線)を踏むことは厳禁です。同伴競技者のボールの外側を歩くのは鉄則です。 たまに、手を抜いて「ごめんね」などと他人のラインを跨ぐ行為を見かけますが、決してしてはいけないマナーです。ゴルフでは他人が安易に跨げるほど簡単なラインではないことがあることを知るべきです。
自分のボールがカップインしたとき、拾い上げる時にできるだけホールカップから離れた位置から拾い上げましょう。特に30cm以内はデリケートな部分です。
ゴルフルールまとめ
書くほうも楽しみながら解説を進めてきましたが、「初心者向けのゴルフルール解説」いかがでしたでしょうか。ゴルフのルールは意外と常識的なことが多いこと、難しそうなルールの条文も言葉の意味を理解すればそれほど難しくないことがご理解いただけたと思います。
ゴルフのルールがわからないままコースに出る方は「ゴルフの無免許運転」です。 ゴルフは自分自身が審判員、知らないとスコアもつけられない、信用されない、正確ではないのナイナイ尽くし、救済のときも何が一番得になるかを知っておくことで成績が変わってきます。
一度ですべてのルールを覚えることは難しいでしょう。実際にラウンドを繰り返し、いろんなケースを体験しながら、最低限知っておくべきルールを習得していきましょう。